こんにちは、シアトル郊外在住の手描き作家/英会話講師さくらこ(@HELLO_and_GDBY)です!
最近アメリカでは月額一定料金を支払う定期購入=サブスクリプション(subscription)型サービスが爆増中。
NetflixやHuluなど動画ストリーミングサービスから始まり、コスメ、生理用品、カミソリ、などの日用品に、本やレコード、画材などの趣味用品、更にヘルシースナックやミールキット(簡単に調理が出来る料理セット)の食品を扱うサービスも登場し、大充実のラインアップです。
そんな中、利便性だけでなくフードロス(=食品廃棄)を減らせるソーシャルグッドな【野菜配達サービス】が登場。
なんとアメリカでは、毎年90万トンもの野菜や果物が販売基準に満たないと言う理由で生産元で廃棄されているそう。そこに目をつけたスタートアップ企業3つを比較していきます。🥕
ふぞろいの青果たち、はみ出し系マーケット、はらぺこ作物
今回比較する3つのサービスは【廃棄されるはずだった規格外の野菜を、低価格で毎週自宅まで届けてくれる】というもの。1週間毎に設定されている料金を払うと、毎週(もしくは隔週)で野菜と果物が入った箱が宅配されます。
1. Imperfect Produce
Imperfect= 不完全 Produce=青果 とキャッチーなネーミング。私が勝手につけた日本ネームは「ふぞろいの青果たち」😇
- サンフランシスコ発なので、西海岸で利用可能
- 最安のプランだと$11/週+送料($4.99)から
- 箱のサイズはS・M・L・XLの4種類。(Sサイズは3-4kの青果の詰め合わせ)
- オーガニックが普通か選べる
- カスタマイズ可能
- 配達曜日は地域固定、でも時間帯は指定できる
2. Misfits Market
Misfits= 不適合 Market=市場 / 私が勝手につけた日本ネームは「はみ出し系マーケット」😇
- 最安プランだと$23.75+送料$4.50から
- S・Mの2サイズ展開(Sサイズは4.5kg〜5kg程の青果の詰め合わせ)
- オーガニックのみ
- カスタマイズ不可
- エコ包装(リサイクルされた素材で、堆肥可能)
- 配達は火曜日〜土曜日の間で選べる
3. Hungry Harvest
Hungry=空腹 Harvest=収穫物 / 私が勝手につけた日本ネームは「はらぺこ作物」😇
- 最安プランは$15+送料$3.49($29.99以上のプランを利用した場合は無料)
- サイズはMINI・FULL・SUPERの3展開(MINIは葉物野菜1種類、他野菜3種類、フルーツ2、3種類)
- カスタマイズ可
- 配送時間選べない(地域固定)
どれを選べば良いの??
まずは自宅に配送可能か調べましょう!(この3つのサービスの中でアメリカの西海岸で利用できるのはImperfect Produceのみ)
各サイトで自宅の郵便番号を入力すると配送対応エリアかどうか調べられます。💡
三社共通しているのは以下の点。
- 毎週か隔週か選べる
- 野菜と果物両方買える
- オーガニックのものが買える
比較チャート
価格・利便性ともにImperfect Produceの一人勝では…??
お住まいの地域が配送対応されていれば、Imperfect Produceが良さそうです!
ちなみにImperfect Produceのミディアムサイズの箱にはこれだけの野菜と果物が入ってるそうです!
*画像 &情報提供 @dkmczk さん
かなりボリューミーで、隔週配達でも2人暮らしで余ってしまう程だったらしいので、最初はSサイズで様子見するのが良いかも知れません。
ソーシャルグッドだけじゃない?人気が出た背景
アメリカでは環境・人権・貧困・動物愛護などの社会問題にアプローチをかける*ソーシャルグッドな商品やサービスがとても人気です。
*英語ではsocial goodの他にsocially responsible(社会的に責任感のある)やethical(倫理的)というキーワードが使われる事が多いです。
↑こちらの記事でも書いていますが、靴を1足買うと、1足寄付される、帽子を1つ買うと、木が一本植えられるなどの”One for One”型のビジネスモデルをベースにしたアパレル商品が支持を集めるなど、単なる購入から「購買力を使った社会への還元」へと人々の関心は移って来ているようです。
廃棄されるはずだった野菜を活用するサービスも世の中の流れに乗り、勢いが出るのが当然かも知れません。しかし、実は背景にもう1つ大きな要因が関係しています。
それは FOOD DESERT.
新鮮な食料が買えないという深刻な問題
FOOD DSERT=食品の砂漠、とは
Food deserts are defined as parts of the country vapid of fresh fruit, vegetables, and other healthful whole foods, usually found in impoverished areas. This is largely due to a lack of grocery stores, farmers’ markets, and healthy food providers.
ー引用元:American Nutrition AssociationのUSDA Defines Food Desert より
訳
Food Desert とは新鮮な生鮮食品が不足している貧困地域のことを指す。スーパーなどの食料品店やファーマーズマーケット、健康的な食料生産者などの供給体制の欠如によってもたらされている
USDA(United States Department of Agriculture=米国農務省) によると、現在アメリカでは約2300万人が生鮮食品店から10マイル(約16km)も離れた所で生活しているそう。
貧困地域はスーパーなどのビジネスが理想とするターゲット層に当てはまらず、結果的に食品店が撤退。
また住人は経済的な理由から転居できず、さらに車の所持率も低いため、結果的に添加物・砂糖・脂肪を多く含んだ食料をコンビニやファストフードから手に入れる事になり、肥満の原因にもなっているんだとか。
フードロスを減らすだけでなく、こうした新鮮な食料へのアクセスが無い貧困層にとっては、低価格で健康的な食品が宅配されるサービスは非常に大きな援助になるのでは無いでしょうか。
環境に気を配ったエコ包装
リサイクル・堆肥可能なエコ指数の高い包装を使っている点も素晴らしい!
Misfits Market で使用されている再生資源から作られている箱は100%リサイクル可能。
さらに断熱材は自宅で堆肥可能だそう!熱いお湯を断熱材に60秒程かけるだけで、みるみる溶けていきます。
▼こちらの動画で溶ける様子が見れます
Imperfect Produceの梱包は更にシンプル!使用されているのは、リサイクル出来るダンボール箱のみです。
こんな感じでダンボールに野菜が裸のまま入っています!
過剰梱包が一切なく素晴らしい!!👏
アメリカ人のパートナーと一緒にURUOUと言うハンドメイドコスメを販売されておられます。
私も抹茶のリップを使っているのですが、香りが優しくて伸びも良く、とってもオススメです!!
Twitterから@dkmczk さんにDMするとクーポンが頂けるみたいですので、興味のある方はぜひ🥳(ステマじゃないよw)
生産者からは反対意見も
革新的なアイディアがとても魅力的なサービスですが、実は反対の声も上がっています。
- 大量生産が出来る大規模な農産業が供給元であると、ローカル、小規模な生産者から購入する消費者が減る
- “ふぞろいな野菜”を商品化する事で、本来Food Bank(生活困窮者の為に生鮮食品が無料で配布されている施設)に寄付される筈の食料が流通しなくなる
- そもそもの問題は現代農産業の過剰生産であり、余ってしまう作物をマネタイズする事で、過剰生産を助長する
- *CSA(Community-supported agriculture)の繁栄を妨げている
*以下で説明しています
ローカル生産者をサポートするならCSAの方が良い?
アメリカにはCSA(Community-supported agriculture)と呼ばれる農家と消費者を直接繋げてくれる仕組みがあるそう。
消費者は農家に直接料金を払い、生産した野菜を分配してもらう。農家にとっては収穫分の販売先が確定し、生産する量も事前に把握できるので無駄が少なくて済む。
これは近隣にCSAプログラムを提供している農家がある方にとっては朗報なのでは無いでしょうか。
(私の自宅付近にもありましたが、残念ながら宅配サービスは無く、予め決められた場所に取りに行く、という仕組みの様です。)
出来る範囲でフードロスを減らそうという意識が大事
ここまで色々調べてみると、やはり理想的なのは地元のファーマーズマーケットや先述のCSAなどを利用し、地産地消をサポートする事かなあというのが私の感想です。
しかし価格帯や利便性から見ればこれらの ”Ugly Produce” (ぶさいくな野菜)サービスは消費者のとって非常に魅力的です。私は農産業の抱える問題について専門家でも何でも無いので、ただ一消費者として、その都度「より良い」選択を重ねて行くしか、協力できる術はありません。
ただ大切なのは、大量の食品廃棄が起きていると言う事、そしてそれに対して消費者が取れるアクションの選択肢について理解しようとする姿勢なのかも知れません。
野菜の宅配サービスについてのポッドキャスト
今回ご紹介したImperfect Produceについて英語と日本語で語っているポッドキャスト(音声配信)を作りました。
よければ聞いてみてください!